11月、大分寒くなってきましたね。今年もあと約一か月半、後悔のない年になるように最後まで頑張っていきましょう。
 さて、今回は前回に引き続き令和4年度診療報酬改定の中でも、[調剤]というカテゴリーにおいて、簡単ではありますが、少しご紹介をさせていただこうと思います。

【主な内容】

  • 薬局の機能と効率性に応じた評価の見直し
  • 在宅業務の推進
  • ICTの活用
  •   

過去の診療報酬改定に関するブログはコチラ

令和4年度診療報酬改定に関して~調剤~
令和4年度診療報酬改定に関して~不妊治療の保険適応~
令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅴ-重症化予防、後発医薬品等使用推進、療養・就労両立支援
令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅳ-質の高い精神医療の評価:②外来に関 わる精神医療の評価/③在宅等に係る精神医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅳ 質の高い精神医療の評価 ①入院に関わる精神医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅲ がん・疾病・難病対策の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅲ(小児・周産期)~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅱ-慢性期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅱ-回復期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅰ-高度急性期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅰ-急性期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~外来Ⅱ編~
令和4年度診療報酬改定とは?~外来Ⅰ編~
令和4年度診療報酬改定とは?~訪問看護編~
令和4年度診療報酬改定とは?~在宅医療編~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療②~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療①~

◇薬局の機能と効率性に応じた評価の見直し

♢調剤基本料の見直し
 大規模グループ薬局の調剤基本料の見直しとして、調剤基本料3の(ロ)の対象となる薬局に、同一グループの店舗数が300以上のであって、特定の保険医療機関からの処方箋受付割合が85%を超える薬局を追加するとともに、85%以下の場合の評価が新設されました。新設された(ハ)では、32点を請求できるようになっています。

♢特別調剤基本料の見直し
 いわゆる同一敷地内薬局の調剤基本料等の見直しとして、①特別調剤基本料の点数の引き下げ、②特別調剤基本料を算定する保険薬局について、調剤基本料における加算の評価の見直し、③特別調剤基本料を算定する保険薬局について、保険医療機関への情報提供に係る評価の見直しがそれぞれ行われました。①においては、点数が9点から7点に引き下げられ織、②においては、区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局において調剤した場合には、それぞれの点数の100分の80に相当する点数を所定点数に加算するとなり、③においては区分番号00に掲げる調剤基本料の注2に規定する別に厚生労働大臣が定める保険薬局において、別に厚生労働大臣が定める保険医療機関への情報提供を行った場合は、算定できないとなっています。

♢地域医療に貢献する薬局の評価
 地域支援体制加算について、調剤基本料の算定、地域医療への貢献に係る体制や実績に応じて類型化した評価体系に見直しが行われました。地域支援体制加算が1~4に分類され、1では39点、2では47点、3では17点、4では39点が加算できるようになりました。
 また、地域支援体制加算を算定指定いる薬局が、災害や新興感染症の発生時等における医薬品供給や衛生管理に係る対応など、地域において必要な役割を果たすことができる体制を確保した評価として、調剤基本料連携強化加算が新設されました。地域支援体制加算に該当する場合であって、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤を行った場合に、2点を算定できます。

♢薬局における後発医薬品の使用促進
 後発医薬品調剤体制加算について、後発医薬品の調剤数量割合の基準を引き上げるとともに、評価が見直されました。具体的な数量基準と点数として、後発医薬品調剤体制加算1では80%以上で21点、後発医薬品調剤体制加算2では85%以上で28点、後発医薬品調剤体制加算3では90%以上で30点の算定となっています。

◇在宅業務の推進

♢患者の状態に応じた在宅薬学管理の推進
 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の見直しとして、主治医と連携する他の医師の指示により訪問薬剤管理指導を実施した場合が対象に加えられました。
 次に、在宅で医療用麻薬持続注射療法が行われている患者に対して、注入ポンプによる麻薬の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行った場合についての新たな評価として、在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算が新設されました。算定要件としては、在宅で医療用麻薬持続注射療法を行っている患者に対して、その投与及び保管の状況、副作用の有無等について患者又はその家族等に確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合に1回につき250点が加算できるようになっています。また、在宅中心静脈栄養法が行われている患者に対して、輸液セットを用いた中心静脈栄養法用輸液等の薬剤の使用など在宅での療養の状況に応じた薬学的管理及び指導を行った場合について、新たに在宅中心静脈栄養法加算が新設されました。算定要件としては、在宅中心静脈栄養法を行っている患者に対して、その投与及び保管の状況、配合変化の有無について確認し、必要な薬学的管理及び指導を行った場合に1回につき150点が加算できます。
 最後に、退院時共同指導料の見直しとして、患者が入院している医療機関における参加職種の範囲を医療機関における退院時共同指導料の要件に合わせて拡大され、薬局の薬剤師がビデオ通話の可能な機器を用いて共同指導に参加する場合の要件が緩和されました。

◇ICTの活用

♢情報通信機器を用いた服薬指導の見直し
 外来診療を受けた患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導について、服薬管理指導料に位置付け、要件及び評価が見直されました。具体的には、情報通信機器を用いた服薬指導を行った場合、(イ)原則3月以内に再度処方箋を提出した患者に関しては45点、(ロ)イの患者以外の患者に関しては59点を処方箋受付1回につき算定できます。また、在宅患者に対する情報通信機器を用いた服薬指導について、算定上限回数等の要件及び評価の見直しが行われました。具体的な算定要件につきましては割愛させていただきますが、新たに在宅患者オンライン薬剤管理指導料として59点が算定できるようになりました。

♢オンライン資格確認システムを通じた患者情報等の活用に係る評価
 保険薬局において、オンライン資格確認システムを通じて患者の薬剤情報又は特定健診情報等を取得し、当該情報を活用して調剤等を実施することに係る評価として、電子的保健医療情報活用加算が新設されました。月1回まで3点が加算できます。

終わりに

 今回は、前回に引き続き[調剤]のカテゴリーにおいて、令4年度診療報酬改定のお話をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。前回の時も記載させていただきましたが、調剤に関しては全く経験がございませんので、深堀したお話はできませんが、やはり在宅業務とICTの面に重きが置かれてきている気がしますね。前回の記事でも少し触れましたが、在宅療養患者が増えることで、訪問薬剤師の需要が大きくなってきています。しかし、かかりつけの在宅患者様全員に訪問するとなると莫大な時間と労力がかかります。そこで重要になってくるのがICTです。勿論患者さんの重症度等によって実際に訪問するのか、オンラインにするのかの判断は必要になってきますが、離れていても画面を通じて服薬指導ができるというのは非常に大きく、お薬は郵送してしまえば届けに行かずに済みます。ICTを上手く利用できるかどうかが、今後在宅業務推進の要となってきそうですね。(S)

 

この記事を書いた人


坂本 裕紀
経歴 / 看護大学卒業。OP室、ICU及びHCU、離島医療、訪問診療、訪問看護、クリニック立ち上げを経験し、現職。
資格 / 看護師、保健師、上級心理カウンセラー