7月に入り、本格的に夏の暑さがやってきましたね。皆様体調崩さずにお過ごしでしょうか?この季節は熱中症や脱水症などに注意が必要なため、こまめな水分補給を心がけましょう。汗で塩分が排出されてしまうため、そういったときはお水ではなくスポーツドリンクなども飲むようにするといいですね。
 さて、今回は令和4年度診療報酬改定の中でも、[個別改定事項Ⅴ-重症化予防、後発医薬品等使用推進、療養・就労両立支援]というカテゴリーにおいて、簡単ではありますが、少しご紹介をさせていただこうと思います。

【主な内容】

  • 重症化予防の取組への評価
  • 後発医薬品等の使用推進の評価
  • 療養・就労両立支援の推進

過去の診療報酬改定に関するブログはコチラ

令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅳ-質の高い精神医療の評価:②外来に関 わる精神医療の評価/③在宅等に係る精神医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅳ 質の高い精神医療の評価 ①入院に関わる精神医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅲ がん・疾病・難病対策の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~個別改定事項Ⅲ(小児・周産期)~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅱ-慢性期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅱ-回復期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅰ-高度急性期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅰ-急性期入院医療の評価編~
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令和4年度診療報酬改定とは?~外来Ⅰ編~
令和4年度診療報酬改定とは?~訪問看護編~
令和4年度診療報酬改定とは?~在宅医療編~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療②~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療①~

◇重症化予防の取組への評価

 ・透析中の運動指導に係る評価の新設
 人工腎臓を算定している患者に対して、透析中に当該患者の病状及び療養環境を踏まえた療養上必要な訓練等を行った場合の評価として、新しく透析時運動指導等加算が新設されました。指導開始から90日を限度として75点を算定可能となっています。
 ・継続的な二次性骨折予防に係る評価の新設
 大腿骨近位部骨折の患者に対して、関係学会のガイドラインに沿って継続的に骨粗鬆症の評価を行い、必要な治療等を実施した場合の評価として、二次性骨折予防継続管理料が新設されました。こちらには1,2,3と区分があり、1では入院中に1回、手術治療を担う一般病棟において1000点、2では入院中に1回、リハビリテーション等を担う病棟において750点、3では1年を限度として月に1回、外来において500点をそれぞれ算定できます。
 ・高度難聴指導管理料の見直し
 高齢化の進展や認知症患者の増加を踏まえ、難聴患者に対する生活指導等を推進する観点から、高度難聴指導管理料についての要件が見直されました。算定要件注2の文言[その他の患者については1回に限り算定する]の部分が、[その他の患者については年1回に限り算定する]へと変更になっており、施設基準(2)の文言に、[また、当該常勤又は非常勤の耳鼻咽喉科の医師は、補聴器に関する指導に係る適切な研修を修了した医師であることが望ましい]という文言が追加されています。

◇後発医薬品等の使用推進の評価

 ・医療機関における後発医薬品の使用促進
後発医薬品の使用数量割合が高い医療機関に重点をおいた評価とするため、後発医薬品使用体制加算及び外来後発医薬品使用体制加算について、後発医薬品の使用数量割合の基準が引き上げられています。後発医薬品使用体制加算1では85%以上だったものが90%以上へ、後発医薬品使用体制加算2では80%以上だったものが85%以上へ、後発医薬品使用体制加算3では70%以上だったものが75%以上へそれぞれ引き上げられています。加算点数に変更はございません。また外来後発医薬品使用体制加算において1~3それぞれ後発医薬品使用体制加算と同様の数字に引き上げが行われています。こちらも加算点数に変更はございません。
 ・バイオ後続品に係る情報提供の評価
 バイオ後続品に係る患者への適切な情報提供を推進する観点から、外来化学療法を実施している患者に対して、バイオ後続品を導入した場合の評価が新設されました。外来腫瘍化学療法診療料として、バイオ後続品導入初期加算(抗悪性腫瘍剤:リツキシマブ製剤,トラスツズマブ製剤,ベバシズマブ製剤)150点、外来化学療法加算として、バイオ後続品導入初期加算(インフリキシマブ製剤)150点がそれぞれ新設となっています。

◇療養・就労両立支援の推進

 療養・就労両立支援指導料における対象患者及び連携先の拡大として、治療と仕事の両立を推進する観点から、療養・就労両立支援指導料について対象疾患及び主治医の診療情報提供先の見直しが実施されました。具体的には、対象となる疾患に心疾患、糖尿病及び若年性認知症が追加され、対象となる企業側の連携先に、患者が勤務する事業場において、選任されている衛生推進者が追加されています。また、療養・就労両立支援指導料における職種要件の見直しとして、治療と仕事の両立支援における心理的不安等に対するサポートや、両立支援の関係者間の連携を推進する観点から、相談支援加算の対象職種に、精神保健福祉士及び公認心理士が追加されました。

終わりに

 今回は[個別改定事項Ⅴ-重症化予防、後発医薬品等使用推進、療養・就労両立支援]のカテゴリーにおいて、令4年度診療報酬改定のお話をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。今回は後発医薬品のお話が挙がっていたので、少しそのお話をさせていただいて締めとさせていただこうと思います。
 さて、皆様は後発医薬品(以下ジェネリック医薬品)をお使いになられていますでしょうか。ジェネリック医薬品とは、先発医薬品の特許期間が切れた後に、別の医薬品メーカーが先発薬と同じ有効成分を配合し、同じ効能効果を持つ薬を製造したものを指します。しかし全てがまったく同じではありません。添加物や製造過程は異なるため、予期せぬ副作用が出たり、十分な効果が得られなかったりすることがあります。先発品に比べ、値段が安価となるメリットがある一方、上記のようなデメリットも持っています。ここで重要なのは、自分に合ったものを服用するということです。先発品を使用するか、ジェネリックを使用するかは勿論服用する患者様が選ぶことができます。最近は色々な薬のジェネリックが発売されているので、自身が服用しているお薬を一度見直してみるのもいいかもしれませんね。(S)

 

この記事を書いた人


坂本 裕紀
経歴 / 看護大学卒業。OP室、ICU及びHCU、離島医療、訪問診療、訪問看護、クリニック立ち上げを経験し、現職。
資格 / 看護師、保健師、上級心理カウンセラー