皆様、新年に入りいかがお過ごしでしょうか。1月、早くも下旬に差し掛かってきました。時間は刻々と過ぎていきます、今年の抱負や目標をしっかりと作って、本年も身体には十分に気を付けて頑張っていきましょう。
さて、今回は令和4年度診療報酬改定の中でも、[入院Ⅱ-回復期入院医療の評価]というカテゴリーにおいて、簡単ではありますが、少しご紹介をさせていただこうと思います。
- 回復期とは
- 地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の見直し
- 回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し
過去の診療報酬改定に関するブログはコチラ
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅰ-高度急性期入院医療の評価編~
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◇回復期とは
回復期(convalescent phase)とは、患者の容態が危機状態(急性期)から脱し、身体機能の回復を図る時期のことを指します。合併症などを予防しつつ、リハビリを行っていき、以前の生活に戻るための期間です。
◇地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料の見直し
地域包括ケア病棟入院料に係る見直しとして、救急体制に係る評価の見直しが実施されました。内容としては、「一般病床において地域包括ケア病棟入院料又は地域包括ケア病棟管理料を算定する場合については、第二次救急医療機関であること又は救急病院等を定める省令に基づき認定された救急病院であることを要件とする(※ただし、200床未満の保険医療機関については、当該保険医療機関に救急外来を有していること又は24時間の救急医療提供を行っていることで要件を満たすこととする)。」となりました。また、重要患者割合の見直しとして、重症度、医療・看護必要度の割合について、必要度Ⅰの割合は1割2分以上、必要度Ⅱの割合は0割8分以上へと見直されています。
次に、自宅等から入棟した患者割合及び自宅等からの緊急患者の受入数の見直しとして、入院料1・3、管理料1・3における自宅等から入院した患者割合の要件について、1割5分以上から2割以上に変更するとともに、自宅などからの緊急の入院患者の受入れ人数が、前3月間において6人以上から9人以上に変更となっています。入院料2・4、管理料2・4における自宅等から入院した患者割合の要件については、[ア:自宅などから入棟した患者割合が2割以上であること][イ:自宅などからの緊急患者の受入れが前3月間において9人以上であること][ウ:在宅医療等の実績を1つ以上有すること]のいずれか一つ以上を満たすことが追加となっており、当該要件を満たしていない場合は、所定点数の100分の90に相当する点数を算定することとなっています。また、在宅医療等の実績における退院時共同指導料2の算定回数の実績要件について、外来在宅共同指導料1の実績を加えてもよいこととするとなりました。在宅復帰率の見直しとして、入院料1・2、管理料1・2における在宅復帰率の要件について、7割以上から7割2分5厘以上に変更、入院料3・4、管理料3・4について、7割以上であることを要件に追加となっています。
医療法上の病床種別に係る評価の見直しとして、地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料を算定する病棟又は病室に係る病床が療養病床である場合には、所定点数の100分の95に相当する点数を算定することとすることとなり、ただし、当該病棟又は防湿について以下のうちいずれかを満たす場合、所定点数(100分の100)を算定するとなりました。
最後に、地域包括ケア病棟入院料の初期加算についての見直しが行われました。内容としては、急性期患者支援病床初期加算として、許可病床数が400床以上の保険医療機関の場合、他の保険医療機関(当該保険医療機関と特別の関係にあるものを除く。)の一般行等から転棟した場合は150点、その他の患者の場合は50点の算定となっており、許可病床数が400床未満の保険医療機関の場合は、他の保険医療機関(当該保険医療機関と特別な関係にあるものを除く。)の一般病棟から転棟した患者の場合は250点、その他の患者の場合は125点の算定となっています。
◇回復期リハビリテーション病棟入院料の見直し
入院料の評価体系の再編が行われ、回復期リハビリテーション病棟入院料の入院料5を廃止するとともに、現行の入院料6を新たな入院料5として位置付けるようになりました。点数も入院料6をそのまま引き継いでいるため、1678点となっています。次に、重症の患者割合に係る要件の見直しとして、回復期リハビリテーション病棟入院料1から4までに係る施設基準における新規入院患者のうちの、重症の患者の割合が見直され、回復期リハビリテーション病棟入院料1及び2については4割以上、回復期リハビリテーション病棟入院料3及び4については3割以上となりました。また、医療機関の体制に係る要件等の見直しが行われ、第三者評価に関して、回復期リハビリテーション病棟入院料1又は3について、公益財団法人日本医療機能評価機構等による第三者の評価を受けていることが望ましいこととするとなりました。回復期リハビリテーションを要する状態についても見直しが行われ、「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」が追加され、算定上限日数を90日以内とするとなりました。
次に、特定機能病院におけるリハビリテーションの評価として、令和4年3月31日をもって廃止予定であった特定機能病院における回復期リハビリテーション病棟入院料について、現に届出がなされている特定機能病院の病棟において一定程度の役割を果たしていることが確認されることから、特定機能病院におけるリハビリテーションに係る役割を明確化することとし、「特定機能病院リハビリテーション病棟入院料」と位置付け、当該入院料に係る施設基準の見直しがされました。詳細な算定要件及び施設基準に関しては割愛させていただきますが、点数としては、2129点(生活療養を受ける場合にあっては2115点)を1日につき算定できるようになっています。
終わりに
今回は[入院Ⅱ-回復期入院医療の評価]のカテゴリーにおいて、令4年度診療報酬改定のお話をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。回復期医療は、今までお話させていただいた急性期医療とはまた違った難しさがあります。回復期は患者様の身体の機能回復に努める時期であり、病気になる以前の生活により早く戻してあげるよう支援していく時期です。この時期は患者様にとって様々な思いが出てきます。それは、早く以前の生活に戻りたいというポジティブな気持ちと、以前と同じような生活を送ることができるのかというネガティブな気持ちです。回復期医療に携わる医療従事者は、この不安定な患者様の気持ちを傾聴し、寄り添い、退院へと導いてあげることが役目となります。疾患だけに注目するのではなく、患者様の背後にある生活そのものに目を向けて看ていかなければなりません。人を看るという本質が詰まった回復期、看護の重要さとやりがいが存分に詰まっており、非常に重要な医療区分と言えますね。(S)
この記事を書いた人

坂本 裕紀
経歴 / 看護大学卒業。OP室、ICU及びHCU、離島医療、訪問診療、訪問看護、クリニック立ち上げを経験し、現職。
資格 / 看護師、保健師、上級心理カウンセラー
