今年は早々に梅雨も明け、あっという間に夏がやってきましたね。気温も暑くなってきており、Covid-19の感染症とともに、脱水や熱中症にも十分な注意が必要です。汗で塩分が出ていきますので、水分補給をするときは、スポーツドリンクなどを飲むことも忘れずにしていただければと思います。
さて、今回は令和4年度診療報酬改定の中でも、[在宅医療]という分野において、簡単ではありますが、少しご紹介をさせていただこうと思います。
過去ブログにも診療報酬改定について掲載していますので宜しければそちらもどうぞ
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療その2~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療その1~
【主な内容】
・在宅医療とは
・在支診及び在支病による地域連携などの推進
・外来から在宅への切れ目のない在宅医療の推進
・小児の在宅医療の評価
・外来医療等におけるデータ提出に係る評価
◇在宅医療とは
在宅医療とは、医療関係者が、患者様やご家族と相談の上、計画にもとづいて定期的に訪問し、治療や経過観察をする医療行為のことを指します。 在宅医療には、医師が訪問して診察や経過観察を行う訪問診療、看護師が訪問してケアを行う訪問看護、理学療法士や作業療法士が行う訪問リハビリテーションなどが含まれます。
◇在支診及び在支病による地域連携などの推進
在支診及び在支病において、施設基準の見直しが行われました。その一つとして、適切な意思決定の推進という部分にフォーカスが当てられ、全ての在支診及び在支病について、厚生労働省が発している、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイ
ドライン」等の内容を踏まえた適切な意思決定支援に係る指針を作成していることを要件とするというものが追加されました。
次に、機能強化型在支診・在支病等の地域との協力推進として、機能強化型の在支診及び在支病について、市町村が実施する在宅医療・介護連携推進事業等において在宅療養支援診療所以外の診療所等と連携することや、地域において24時間体制での在宅医療の提供に係る積極的役割を担うことが望ましい旨が施設基準に明記されました。
最後に、機能強化型在支病の要件の見直しとして、過去1年間の緊急の往診の実績を10件以上有すること、という項目に加え、在支診等からの要請により患者の受入れを行う病床を常に確保し、在宅療養支援診療所等からの要請により患者の緊急の受入れを行った実績過去1年間で31件以上あること、という項目と、地域包括ケア病棟入院料・管理料1又は3を届け出ていることが追加され、この3つのうちのいずれかの要件を満たすよう定められました。
◇外来から在宅への切れ目のない在宅医療の推進
今回の改定にて、外来医療を担う医師と在宅医療を担う医師が共同して行う指導の評価として、通院患者のスムーズな在宅医療への移行を推進する観点から、外来在宅共同指導料が新設されました。外来在宅共同指導料には1と2があります。詳しい算定要件に関しては割愛させていただきますが、1の方は患者様一人につき一回限り400点を、在宅療養を担う保険医療機関において算定できるものであり、2の方は患者様一人につき一回限り600点を、外来において診療を行う保険医療機関において算定できるものとなります。
次に、在宅療養支援診療所以外の診療所の訪問診療に対する評価として、在宅療養移行加算が新設されました。こちらは以前まで継続診療加算と呼ばれていたものとなります。在宅療養移行加算には1と2があり、1の方は継続診療加算と同様の算定要項及び点数となり、2の方は1の算定要項に、当該医療機関又は連携する他の医療機関が往診を提供する体制を有していること、という文言が追加され、算定点数は在宅療養移行加算1より100点下がった116点となっております。点数は下がっても、連携医療機関が往診体制を有していることで算定可能となるため、その分条件が緩和されましたね。
◇小児の在宅医療の評価
小児に対する在宅医療の評価では、在宅がん医療総合診療科について、在宅医療における小児がん診療のニーズが高まっていることを踏まえ、小児加算が週に一回1000点で算定できるようになりました。こちらは、15歳未満の小児(児童福祉法第6条の2第3項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20歳未満の者)に対して総合的な医療を提供した場合に算定できます。
また、小児に対する在宅医療を適切に評価する観点から、緊急往診加算についての要件が見直されました。今までは、緊急に行う往診とは、患者又は現にその看護に当たっている者からの訴えにより、速やかに往診しなければならないと判断した場合をいい、具体的には、往診の結果、急性心筋梗塞、脳血管障害、急性腹症等が予想される場合をいう、という文言でした。今回の改定にて、15歳未満の小児(児童福祉法第6条の2第3項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、20歳未満の者)については、これに加えて、低体温、けいれん、意識障害、急性呼吸不全等が予想される場合をいう、という文言が新たに追加され、小児特有の速やかな往診が必要な場合がより明確化されました。
◇外来医療等におけるデータ提出係る評価
今回の改定にて、外来医療、在宅医療及びリハビリテーション医療について、データに基づく適切な評価を推進する観点から、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、疾患別リハビリテーション料等において、保険医療機関が診療報酬の請求状況、治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合の評価が新設されました。生活習慣病管理料として外来データ提出加算の算定、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料及び在宅がん医療総合診療料として在宅データ提出加算の算定、疾患別リハビリテーション料としてリハビリテーションデータ提出加算の算定がそれぞれできるようになりました。算定要件としては、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、当該保険医療機関における診療報酬の請求状況、生活習慣病の治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合となり、3つとも月に1回、50点の算定となります。
おわりに
一昔前までは、病気というのは病院で治療するものであり、人生の最後を迎える時も、病院でというのが当たり前でした。その当たり前が少しずつ変遷してきており、今では自宅で治療をすることや、自宅でお看取りをすることが多くなってきております。住み慣れた場所、安心する場所で医療を受けたい、最後は自宅で家族と共に迎えたいと思う患者様が増えてきており、そういった患者様の思いを受けて医療の在り方も変わってきています。
今後、今よりも在宅医療を受けられる患者様は増えてくると思います。そして、患者様が在宅で安心して医療を受けられるためには、在宅医療、病院、地域の連携が必要不可欠となります。私も一人の医療従事者として、在宅医療を望まれる患者様が一人でも多く納得のいく形で医療を受けられるよう、働きかけていければと考えております。(S)
