3月に入り、段々と春の気候になり暖かくなってきましたね。3月と言えば卒業の季節。人生には出会いがあれば必ず別れがあります。そして、別れを意識するからこそ、その時々を大切に歩めるのだと思います。人との出会いを大切に、人生を豊かにしていきたいですね。
さて、今回は令和4年度診療報酬改定の中でも、[個別改定事項Ⅲ-小児・周産期]というカテゴリーにおいて、簡単ではありますが、少しご紹介をさせていただこうと思います。
- 小児医療とは
- 周産期医療とは
- 小児医療・周産期医療の充実
過去の診療報酬改定に関するブログはコチラ
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅱ-慢性期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅱ-回復期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅰ-高度急性期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~入院Ⅰ-急性期入院医療の評価編~
令和4年度診療報酬改定に関して~外来Ⅱ編~
令和4年度診療報酬改定とは?~外来Ⅰ編~
令和4年度診療報酬改定とは?~訪問看護編~
令和4年度診療報酬改定とは?~在宅医療編~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療②~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療①~
◇小児医療とは
小児医療とは、一般的に15歳未満の小児(児童福祉法第6条の2第2項に規定する小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合は、18歳未満の者)に対する医療とされ、一般的な外来・入院医療の他、高度専門医療、小児救急医療、小児在宅医療など多領域にまたがり、小児に特有の疾患や、症状の急激な変化などへの対応が求められます。
◇周産期医療とは
周産期とは、妊娠22週から出生後7日未満までの期間をいい、合併症妊娠や分娩時の新生児仮死など、母体・胎児や新生児の生命に関わる事態が発生する可能性が高くなる期間です。周産期を含めた前後の期間における医療は、突発的な緊急事態に備えて産科・小児科双方からの一貫した総合的な体制が必要であることから、特に周産期医療と表現されています。
◇小児医療、周産期医療の充実
不適切な養育等が疑われる小児患者に対する支援体制の評価として、不適切な養育等が疑われる児童の早期発見や、福祉・保健・警察・司法・教育等の関係機関の適切な連携を推進する観点から、多職種で構成される専任のチームを設置して連携体制を整備している場合について、新しく養育支援体制加算(300点)が設置されました。対象患者は小児入院医療管理料を算定する病棟に入院している患者となっており、算定要件としては、当該病棟に入院している患者について、入院初日に限り算定するとなっています。
胎児が重篤な疾患を有すると診断された、又は疑われる妊婦に対して、出生前より十分な情報提供及び必要なケアを切れ目なく行い、当該妊婦及びその家族等が納得して治療の選択等ができるよう、多職種が共同して支援を実施した場合についての評価として、新たに成育連携支援加算(1,200点:入院中1回)が設置されました。詳細な算定要件は割愛させていただきますが、対象患者としては、総合周産期特定集中治療室管理料を算定する病室に入院する患者であって、胎児が重篤な状態であると診断された、又は疑われる妊婦(ここでいう胎児が重篤な状態とは「先天奇形」「染色体異常」「出生体重1,500g未満」の状態)が対象となります。
時間外における小児患者の緊急入院の受入体制の評価として、一部の医療機関では時間外の小児の緊急入院を多く受け入れている実態を踏まえ、充実した時間外受入体制を整備している場合について、時間外受入体制強化加算1と2が新設されました。点数としては時間外受入体制強化加算1が300点(入院初日に加算算定)、2が180点(入院初日に加算算定)となっています。
造血幹細胞移植を実施する小児患者に対する無菌治療管理評価として、小児患者に係る造血幹細胞移植の実施において、特に厳重な感染予防が必要となることを踏まえ、小児入院医療管理料を算定する病棟に入院している造血幹細胞移植を実施する小児患者に対して無菌治療管理を行った場合について、無菌治療管理加算1と2が新設されました。無菌治療管理加算1が2000点(1日につき)、2が1500点(1日につき)となっています。
小児特定集中治療室管理料の見直しとして、高度な周術期管理及び長期にわたる集中治療管理が必要となる実態を踏まえ、要件及び算定日数が改定されました。施設基準の見直しとして、当該治療室に入院する患者のうち、人工心肺を用いた先天性心疾患手術の周術期に必要な管理を実施した患者が直近1年間に80名以上であることという実績要件が追加されました。また、算定上限日数の見直しとして、手術を必要とする先天性心疾患を有する新生児に関しては55日となっています。
新生児特定集中治療室管理料等の見直しとして、慢性肺疾患を伴う低出生体重児に対して、長期の入院による呼吸管理が必要となる実態を踏まえ、算定上限日数の改定が実施されました。新生児特定集中治療室管理料・総合周産期特定集中治療室管理料において、出生時体重が500g以上750g未満であって慢性肺疾患の新生児に関しては105日、500g未満であって慢性肺疾患の新生児に関しては110日となっています。また、新生児治療回復室入院医療管理料において、出生時体重が500g以上750g未満であって慢性肺疾患の新生児に関しては135日、500g未満であって慢性肺疾患の新生児に関しては140日となっています。
病棟薬剤業務実施加算の見直しとして、小児入院医療管理料において、病棟薬剤師による介入が医療の質の向上につながっている実態を踏まえ、小児入院医療管理料を算定する病棟について、病棟薬剤業務実施加算1が算定可能となりました。
医療的ケア児等に対する専門的な薬学管理の評価として、小児慢性特定疾病の児童等又は医療的ケア児に対する専門的な薬学管理の必要性を踏まえ、医療機関と薬局の連携を更に推進する観点から、小児医療管理料を算定する病棟における退院時の当該患者等に対する服薬指導及び薬局に対する情報提供をした場合に、新たに退院時薬剤情報管理指導連携加算が算定できるようになりました。算定要件等の詳細は割愛させていただきますが、退院時に一回150点を加算ができます。
医療的ケア児等に係る関係機関の連携として、診療情報提供料(Ⅰ)の見直しが実施されました。簡潔に記載しますと、診療情報提供料(Ⅰ)注2における情報提供先に児童相談所を追加、注7における情報提供先に保育所や高等学校等を追加、小児慢性特定疾患やアレルギー疾患を有する児童が安心して安全に学校等に通うことができるよう、注7における対象患者に小児慢性特定疾病支援及びアレルギー疾患を有する患者を追加となっています。
小児運動器疾患指導管理料の見直しとして、小児に対する継続的な診療を一層推進する観点から、小児運動器疾患指導管理料の対象患者の年齢を、12歳未満から20歳未満に拡大となりました。
ハイリスク妊産婦連携指導料の見直しとして、ハイリスク妊産婦連携指導料1に関する対象患者が、入院中の患者以外の患者であって、精神疾患を有する又は精神疾患が疑われるものとして精神科若しくは心療内科を担当する医師への紹介が必要であると判断された妊産婦又は出産後2月以内であるものと改定、ハイリスク妊産婦連携指導料2に関する対象患者が、入院中の患者以外の患者であって、精神疾患を有する又は精神疾患が疑われるものとして産科若しくは産婦人科を担当する医師から紹介された妊婦又は出産後6月以内であるものと改定されました。
専門機関との連携分娩管理の評価として、妊産婦に対するより安全な分娩管理を推進する観点から、有床診療所において、医療機関が総合周産期母子医療センター等と連携して適切な分娩管理を実施した場合について、地域連携分娩管理加算が新設されました。詳細な算定要件は割愛させていただきますが、3200点(1日につき、8日まで)を算定できるようになっています。
終わりに
今回は少し長くなってしまいましたが、[個別改定事項Ⅲ-小児・周産期]のカテゴリーにおいて、令4年度診療報酬改定のお話をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。私は自身の看護師人生の中で、一度も現場に介入したことがありませんが、この小児医療並びに周産期医療というのは、非常に大切な分野であることに間違いはありません。この科は専門性と特殊性が他の科に比べて非常に高く、特に周産期医療は、病院の中で唯一の新しい命を扱う分野であり、命宿った瞬間を感じられる唯一無二の現場です。成人と違い、目まぐるしく変化していく新生児や小児医療は、責任も重い反面大きなやりがいがあると言えるでしょう。(S)
この記事を書いた人

坂本 裕紀
経歴 / 看護大学卒業。OP室、ICU及びHCU、離島医療、訪問診療、訪問看護、クリニック立ち上げを経験し、現職。
資格 / 看護師、保健師、上級心理カウンセラー
