まだまだ暑さ本番の中、皆様いかがお過ごしでしょうか。コロナ感染症も依然猛威をふるっており、予断を許さない状況が続いております。引き続き感染症対策をしっかり行い、日々の生活を送っていきましょう。
さて、今回は令和4年度診療報酬改定の中でも、[訪問看護]という分野において、簡単ではありますが、少しご紹介をさせていただこうと思います。訪問看護の簡単なご紹介は、以前投稿させいただいた、「訪問看護ST立ち上げ体験記」の方に記載させていただいておりますので、今回は割愛させていただきます。
過去ブログはこちら
令和4年度診療報酬改定とは?~(在宅医療編)~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療その2~
令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療その1~
訪問看護ST立ち上げ体験記 ~リアルな中身を晒します~
【主な内容】
・訪問看護における連携強化の推進
・専門性の高い看護師による訪問看護の評価の推進
・医療ニーズの高い利用者の退院支援の見直し
・遠隔死亡診断の補助の評価
訪問看護における連携強化の推進
ご利用者が安心して24時間対応等を受けられる体制の整備の一つ目として、業務継続に向けた取り組み強化の推進がなされ、感染症や災害が発生した場合であっても、必要な訪問看護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、訪問看護ステーションにおける業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等の義務化が定められました。また複数の訪問看護ステーションによる24時間対応体制の見直しとして、24時間対応体制加算の算定要件が見直されました。内容としては、業務継続計画を策定した上で自然災害等の発生に備えた地域の相互ネットワークに参画している訪問看護ステーションであるというものが追加されています。
二つ目に、機能強化型訪問看護ステーションの見直しとして、機能強化型訪問看護管理療養費の見直しが実施され、機能強化型訪問看護療養費1の報酬が、12530円から12830円へと増額、機能強化型訪問看護療養費2の報酬が、9500円から9800円へと増額されました。また、施設基準として、(ク)の内容が「直近1年間に、人材育成のための研修等を実施していること。」に変更がされ、新しく(ケ)として「直近1年間に、地域の保険医療機関、訪問看護ステーションまたは住民等に対して、訪問看護に関する情報提供又は相談に応じている実績があること。」、(コ)として、「専門の研修を受けた看護師が配置されていることが望ましい。」という要件が追加されました。
三つ目に、複数名訪問看護加算において、複数名訪問看護加算における看護補助者が同行する場合の加算について、看護師等が同行する場合も算定可能となりました。報酬の変更はなされていません。
最後に、訪問看護指示書の記載欄の見直しが実施され、医師の指示に基づき、医療的ニーズの高い利用者に対する理学療法士等による訪問看護が適切に提供されるよう、理学療法士等が訪問看護の一環として実施するリハビリテーションに係る訪問看護指示書の記載欄が変更となりました。詳しい変更内容は、実際に訪問看護指示書のⅡ-1リハビリテーション欄をご覧になっていただければと思います。
専門性の高い看護師による訪問看護の評価の推進
専門性の高い看護師による訪問看護の評価の推進の一つとして、同行訪問の見直しが実施されました。内容としては、訪問看護基本療養費の施設基準の褥瘡ケアに係る専門の研修欄に、褥瘡ケアに係る専門の研修に特定行為研修が追加となっています。また、専門性の高い看護師による訪問看護における専門的な管理の評価の新設として、専門の研修を受けた看護師が、専門的な管理を含む訪問看護を実施する場合の評価が実施され、専門管理加算が新しく追加となりました。報酬は2500円(1月に1回)となっています。詳しい算定要件に関しては割愛させていただきます。
二つ目は、訪問看護における特定行為の手順書の交付に係る評価の新設が実施されました。質の高い訪問看護の提供を推進する観点から、訪問看護ステーション等の看護師に対して、医師が特定行為の実施に係る手順書を交付した場合の評価として、手順書加算が追加となっています。点数は150点(6か月に1回)です。
医療ニーズの高い利用者の退院支援の見直し
一つ目として、退院支援指導加算の見直しが実施され、退院日の利用者の状態及び訪問看護の提供状況に応じた評価を行う観点から、退院日に看護師等が長時間の退院支援指導を行った場合の評価が新設されました。新設内容としては、区分番号01の注10に規定する、別に厚生労働大臣が定める長時間の訪問を要する者に対し、長時間にわたる療養上必要な指導を行ったときにあっては、8400円を加算するといったものになっています。
二つ目として、訪問看護ターミナルケア療養費の見直しが実施され、死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上実施することとしている訪問看護について、退院日の退院支援指導を含めて判断できることとすると改定されています。
遠隔死亡診断の補助の評価
遠隔死亡診断の補助の評価として、ICTを活用した遠隔死亡診断の補助に対する評価の新設が実施されました。内容としては、医師が死亡診断等について、ICTを活用した在宅での看取りに関する研修を受けた看護師が補助した場合の評価として、訪問看護ターミナルケア療養費に遠隔死亡診断補助加算が付帯されるようになりました。詳しい算定要件は割愛させていただきますが、報酬に関しては遠隔死亡診断補助加算として、一回1500円となっています。
おわりに
前回私が投稿させていただいた、令和4年度診療報酬改定に関して(在宅医療)の記事でもお話させていただきましたが、今後在宅医療を受けられる患者様は増えてくると考えられます。そういった状況において、勿論医師による訪問診療というのは重要なウェイトを占めていますが、患者様及びそのご家族様と多くの時間関わり、患者様の状態チェックや必要手技の実施、他サービスとの連携を行う訪問看護は、在宅医療においての根幹を担うサービスであると言えます。しかし、需要とは裏腹に、過酷な労働環境から訪問看護ステーションでは深刻な人手不足が続いており、十分な看護師を配置できず、質の高いサービスを提供できないといったことが往々にしてある状態です。私も経験をしたことがあるので、大変な現場であるということは十分に理解していますが、もし、訪問看護に興味を抱いている看護師さんがいらっしゃいましたら、是非その力を、在宅医療という分野において発揮していただければと思います。
この記事を書いた人

坂本 裕紀
経歴 / 看護大学卒業。OP室、ICU及びHCU、離島医療、訪問診療、訪問看護、クリニック立ち上げを経験し、現職。
資格 / 看護師、保健師、上級心理カウンセラー
