10月も中旬に差し掛かり、さわやかな秋風が気持ちよく感じる季節となりましたね。コロナ感染症の人数も減少してきており、世間では全国旅行支援というサービスが始まっている地域もあります。人が集まれば感染のリスクは勿論増えます。人にうつさない、そしてうつされないよう、感染症対策をしっかりして、秋の季節を楽しんでいきたいですね。
さて、今回は令和4年度診療報酬改定の中でも、[外来Ⅱ]というカテゴリーにおいて、簡単ではありますが、少しご紹介をさせていただこうと思います。
【主な内容】
・かかりつけ医機能の評価の推進
・耳鼻咽喉科処置等の評価
・生活習慣病管理の評価
・外来医療等におけるデータ提出に係る評価
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令和4年度診療報酬改定とは?~情報通信機器を用いた診療②~
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◇かかりつけ医機能の評価の推進
紹介受診重点医療機関とかかりつけ医機能を有する医療機関の連携の推進として、診療情報提供料Ⅲに関して、名称を「連携強化診療情報提供料」に変更し、かかりつけ医機能を有する医療機関等が、診療情報を提供した場合について、算定上限回数を変更。また、「紹介受診重点医療機関」において、200床未満の病院又は診療所から紹介された患者について診療情報を提供した場合についても、算定要件に含まれるようになりました。詳しい評価対象に関しては、割愛させていただきますが、改定前では1回/3月の算定だったものが、改定後では1回/月へと変更となっています。点数に関しての増減はございません。
次に、地域包括診療料・地域包括診療加算の見直しが行われました。地域包括診療等について、慢性疾患を有する患者に対するかかりつけ医機能の評価を推進する観点から、地域包括診療料等の対象疾患に、慢性心不全及び慢性腎臓病が追加となり、患者に対する生活面の指導については、必要に応じ、医師の指示を受けた看護師や管理栄養士、薬剤師が行っても差し支えないことになりました。また患者からの予防接種に係る相談に対応することを要件に追加するとともに、院内掲示により、当該対応が可能なことを周知することが必要となっています。
三つ目に、小児かかりつけ診療料の見直しが行われました。小児に対する継続的な診療を一層推進する観点から、小児かかりつけ診療料について、時間外対応に係る体制の在り方を考慮した評価体系に見直され、小児かかりつけ診療料1と2に分類されるようになりました。詳しい施設基準に関しては割愛させていただきますが、小児かかりつけ診療料1の点数は、処方箋を交付する場合[初診時:641点、再診時:448点]、処方箋を交付しない場合[初診時:758点、再診時:566点]となっています。小児かかりつけ診療料2の点数は、処方箋を交付する場合[初診時:630点、再診時:437点]、処方箋を交付しない場合[初診時:747点、再診時:555点]となっています。
最後に、地域においてかかりつけ医機能を有する医療機関の体制について、診療実態も踏まえた適切な評価を行う観点から、機能強化加算について要件の見直しが行われました。具体的に追加された要件としていくつか挙げさせていただきますと、(イ)患者が受診している他の医療機関及び処方されている医薬品の把握し、必要な服薬管理を行うとともに、診療録に記載すること、なお必要に応じ、担当医の指示を受けた看護職員等が情報の把握を行うことも可能であること、(ロ)専門医師又は専門医療機関への紹介を行うこと、(ハ)健康診断の結果等の健康管理に係る相談に応じること、(ニ)保険・福祉サービスに係る相談に応じること、(ホ)診療時間外を含む、緊急時の対応方法等に係る情報提供を行うこと、などが追加されています。また施設基準としては、(1)適切な受診につながるような助言及び指導を行うこと等、質の高い診療機能を有する体制が整備されていること等が追加となっています。その他、届出・実績の変更や、配置医師の追加なども加えられておりますが、長くなってしまうため今回は割愛させていただきます。
◇耳鼻咽喉科処置等の評価
耳鼻咽喉科処置について、小児に対する診療及び様々な処置の組合せを適切に評価する観点から、新たな評価として、耳鼻咽喉科乳幼児処置加算(60点/日)の新設、また小児の耳鼻咽喉科領域における薬剤耐性(AMR)対策を推進する観点から、抗菌薬の適正使用についての新たな評価として、耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算(80点/月1回に限り)の新設が実施されました。
また、アレルギー性鼻炎免疫療法に係る評価の見直しとして、アレルギー性鼻炎免疫療法治療管理料が新設されました。細かい算定基準に関しては割愛させていただきますが、月一回に限り算定できるもので、1月目は280点、2月目以降は25点となっています。
最後に、高齢化の進展や認知症患者の増加を踏まえ、難聴患者に対する生活指導等を推進する観点から、高度難聴指導管理料について要件の見直しが行われました。算定要件として、区分番号K328に掲げる人工内耳植込術を行った患者については月1回に限り、その他の患者については年1回に限り算定するというように変更されました。
◇生活習慣病管理の評価
生活習慣病患者の薬剤料が、患者ごとに大きく異なっている実態を踏まえ、投薬に係る費用を生活習慣病管理料の包括評価の対象範囲から除外し、評価の見直しが実施されました。また、生活習慣に関する総合的な治療管理については、多職種と連携して実施しても差し支えないことを明確化し、管理方針を変更した場合に、患者数の定期的な記録を求めないことになりました。点数に関しては、今まで処方箋を交付する場合と、しない場合によって異なっていましたが、それが一律になり、脂質異常症を主病とする場合は570点、高血圧症を主病とする場合は620点、糖尿病を主病とする場合は720点と定められ、全てのケースにおいて点数が下げられました。
◇外来医療等におけるデータ提出に係る評価
外来医療、在宅医療及びリハビリテーション医療について、データに基づく適切な評価を推進する観点から、生活習慣病管理料、在宅時医学総合管理料、疾患別リハビリテーション料等において、保険医療機関が診療報酬の請求状況、治療管理の状況等の診療の内容に関するデータを継続して厚生労働省に提出している場合の評価が新設されました。外来データ提出加算、在宅データ提出加算、リハビリテーションデータ提出加算の三つが新設されましたが、点数はいずれも50点(月1回)となります。
終わりに
今回は[外来Ⅱ]のカテゴリーにおいて、令4年度診療報酬改定のお話をさせていただきました。外来医療の強化と機能分化に焦点を当てた内容となっていましたが、いかがでしたでしょうか。最後に今回の題目にも出てきた、かかりつけ医というところに焦点を当て、このブログを締めさせていただこうと思います。
かかりつけ医とは、なんでも相談できて、最新の医療を熟知し、必要に応じて専門家を紹介できることや、地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師と定義されています。私が赴いているクリニックの院長は、専門は外科ですが、呼吸器、循環器、泌尿器、皮膚と様々な分野において広く診療できる医師であります。また、外来医療だけでなく、訪問診療も行っており、地域医療という点に関してもかかりつけ医としての役割を担っております。しかし、地域における全ての医師が、そういったジェネラリストとして活躍できる医師ではないのが現状です。自身の訪問診療患者であっても、それは専門外だからと患者を一目も見ずして、他病院へと紹介する医師もいます。確かにより専門性を持った医師へ紹介するということは悪いことではなく、疾患を治すという点を考えれば正しいことであると言えますが、そういった対応では患者様は不安になってしまうでしょう。かかりつけ医に求められているのは、なんでも相談できるという点が一番大きいのではないかと考えられます。どういった場合でも、まずは患者様の相談に乗り、しっかりとコミュニケーションをとる。そして診察をした上で、今後の方針を一緒に決めていく。患者様に寄り添った医療が、かかりつけ医には求められるのではないかと思います。在宅医療を受けられる患者様が多くなっていく中、医療連携をという点に関してもかかりつけ医は非常に重要になってくると考えられます。地域医療においてかかりつけ医は根幹を担う存在ですので、かかりつけ医を中心とした医療連携を図り、患者様やご利用者様により良い医療を提供していける医療体制を作っていきたいですね。
この記事を書いた人

坂本 裕紀
経歴 / 看護大学卒業。OP室、ICU及びHCU、離島医療、訪問診療、訪問看護、クリニック立ち上げを経験し、現職。
資格 / 看護師、保健師、上級心理カウンセラー
