皆さん、正しい薬の飲み方は知っていますか。
薬は健康や生命に直接関係するものなので、その選択は十分慎重におこなわなければなりません。今回は「正しい薬の飲み方について」お話ししたいと思います。病院でもらう薬のほとんどは「食後」に飲むように薬袋(やくたい:くすりが入っている袋)に書かれています。普段何気なく薬を飲まれていると思いますが、「飲めばいいわけだし、タイミングはそんなに重要ではないのでは?」と思っている方もいるのではないでしょうか。「薬は飲んだ後どのように体に吸収されていくのか」、「飲み忘れた場合はどうすればいいのか」、「薬を飲み忘れた場合はどうすればいいのか」、「薬の服用タイミング」、「服用中の飲酒」などについて書きましたので読んでいただけると幸いです。

~薬は飲んだ後どのように体に吸収されるのか?~

腸から吸収されて血液の中に入り、全身に運ばれた後肝臓で分解され体内に運ばれていきます。口から飲んだ薬は胃や腸で溶けて、その後小腸などから吸収され血液中に取り込まれ、体内のいろいろなところに運ばれて効果を発揮します。肝臓は自分の体に入ったものを分解する働きがあり、薬が肝臓に運ばれると分解され、効果がなくなります。これを「代謝」といいます。分解された薬は、尿や便と一緒に体の外に出ていきます。吸収されずにおなかの中で効果を発揮したり、分解されずにそのまま尿や便に出る薬もあります。

~薬を飲み忘れてしまった場合は、飲み忘れた分を一緒に飲むべき?~

薬を飲み忘れた場合、2回分を一度に飲んではいけません。基本的に一日分の薬をその日のうちに飲めば、体の中の平均的な薬の濃度を同じように保てます。但し、2回分を一度に飲んだり、次の服用時間が近い場合には、一度に多くの薬が体の中に入るため危険です。一般的に飲み忘れに気づいたときに1回分を飲みますが、次の服用まで一定時間以上あけることが必要です。目安として、1日3回飲む薬は4時間以上、2回は6時間以上、1回は8時間~12時間以上あけてください。次の服用時間が近い場合は忘れた分は服用を中止してください。また、糖尿病の薬など、食事との関係で服用する時間帯が大切な薬もありますので、薬を飲み忘れた場合の対応を薬局で薬剤師に確認するようにしてください。特に飲み忘れると発作や症状が悪化する場合もあるので十分に注意をして下さい。まずは飲み忘れないことを心がけてくださいね。

~症状がよくなったら薬の量を減らしたり、飲むのをやめてもいいの?~

症状が改善しても医師の指示された通りに飲んでください。薬の量や回数、飲む期間は患者さんの症状や体の機能に合わせて決めています。ここで注意していただきたいのが、自分の判断で薬を飲むのをやめたり減らしたりしてはいけません。薬を急に辞めると、症状が悪化してしまうことがあります。また決まった量を飲まないと十分な効果が出ないばかりか、だんだん効き目が弱くなったり、効かなくなってしまう薬もあります。一方、すぐに効果が出ずに、だんだんと効く薬もあります。なかなか効かないからと言って飲む量を増やさないよう注意してください。基本的に医師が指示した「量・回数・期間」を守ることが必要ですが、副作用と思われる症状が出た場合には、すぐに医師又は薬剤師に相談して下さいね。

~夕食後に薬を飲んだ後、お酒を飲んでもいいの?~

薬を飲んでいる間はアルコールを控えて下さい。薬の飲み合わせによりますが、アルコールを飲むと薬が効きすぎることがあります。また、眠気が強く出たり、記憶をなくしたり、血圧の下がり過ぎや動機、めまい、その他多くの副作用が起こることが知られています。ふらつきが強く出て転倒することもあるので、薬を飲んでいるときはお酒を控えるのが基本です。特に、睡眠薬・向精神薬・抗アレルギー薬をお酒で飲むと作用を増強させてしまい、意識障害を起こしてしまう危険性もあります。薬の種類によっては、飲む時間をずらすなどの工夫を行えば、お酒を飲むことができる場合もあるので、お酒を飲みたい場合には事前に医師や薬剤師に相談してみて下さいね。

~「食間」とはいつのことなのか?~

食間とはおよそ食事の2時間後です。食事とのタイミングが重要になる薬もあります。薬の飲み忘れを防ぐために食後としていることがありますが、食事とのタイミングにより副作用を防いだり、その薬がより効くように服用時間が指示されることがあります。特に食後以外に飲む場合、食事との関係性が重要です。正確な服用時間にあまり神経質になる必要はありませんが、指示された通りに飲むことを習慣にしましょう。服用時間に不都合がある場合は、飲み方を変えられる場合があるので、医師や薬剤師に相談してみてくださね。

~まとめ~

薬は用法、用量を守ることで副作用を最小限にして、最大の効果を発揮することができます。正しい服用方法を知り、薬と上手に付き合っていきましょう。また薬袋に書かれた飲み方で分からないことがあれば、医師または薬剤師に相談して下さいね。