前回は生活習慣病の運動の効果についてお伝えさせていただきました。
今回は「睡眠」についてご紹介したいと思います。
質の悪い睡眠を生活習慣病のリスクが上がり、病状の悪化にもつながります。私たちが生活するうえで睡眠はとても大切です。
睡眠は長すぎてもリスクがあると言われています。睡眠時間が短い人では肥満や高血圧、糖尿病が多くなると指摘されています。
睡眠はどのように身体に影響するのか一緒に考えていけたらと思います。

前回のブログはコチラ
生活習慣病に気をつけていますか?~運動の効果について~

◇睡眠のメカニズム

一般的な睡眠は眠りの深い大脳を休めるノンレム睡眠から入り、眠りの浅い夢を見るレム睡眠に移ります。その後約90分の周期で繰り返されます。
睡眠の間は時間帯に適した自律神経の働きやホルモン分泌が行われ、休息、修復の働きをしています。適切な睡眠時間を経過すると体内時計は覚醒作用のホルモン分泌させ、徐々に血圧や脈拍を上げ、目覚めにつながります。

レム睡眠
全身の筋肉が緩みエネルギーを節約した状態で効率よく身体を休めています。しかし脳波は比較的活発に活動しており、心拍数や血圧に変動が出やすくなります。
朝方になるにつれて眠りの浅いレム睡眠が長くなり、夢を見ているのはレム睡眠の時間帯が多いと言われています。

ノンレム睡眠
日中に活動した大脳を休息させると同時に成長ホルモンが分泌され細胞の修復や成長を促します。脳波の活動は低下し、副交感神経が優位となり脳や肉体の疲労を取り除いていきます。
入眠直後は最も眠りの深いノンレム睡眠に入り、明け方になるにつれて徐々に短くなっていきます。集中的に脳を冷やし、体温を下げるために熱を外に放散しているため汗をかきやすい時間帯ともなります。

◇睡眠不足は生活習慣病の発症リスクを高める

夜遅くまで起きている人や、眠りの浅い人などは常に緊張状態である交感神経が優位となり血圧が高い状態が続くため高血圧を招きます。また睡眠不足により血糖値をコントロールするインスリンというホルモンの働きを悪くするため糖尿病の発症リスクも高めます。高血圧や糖尿病などは自覚症状がないまま進行していることが多く、いずれも動脈硬化の危険因子であり、睡眠不足は狭心症や心筋梗塞などの心疾患、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患のリスクを高めることにもつながります。
生活習慣病予防のためには食事、運動療法だけではなく、体内時計を整えて質のよい睡眠を取ることが大切です。

■厚生労働省「睡眠障害の対応と治療ガイドライン」 睡眠障害対処12の指針より
1.睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ十分
2.刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法
3.眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
4.同じ時刻に毎日就床
5.光の利用でよい睡眠
6.規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
7.昼寝をするなら、15時間前の20~30分
8.眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
9.睡眠中の激しいイビキ・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
10.十分眠っても日中の眠気が強いときは専門医に
11.睡眠薬代わりの寝酒は不眠のもと
12.睡眠薬は医師の指示で正しく使えば安全

まとめ

睡眠不足は日中のパフォーマンスに大きく影響します。
理想的な睡眠時間は7時間~8時間と言われていますが、皆さんは毎日何時間くらい寝られていますか。
ストレスを感じやすい、疲れやすい、些細なことでイライラする、集中力が続かない、暴飲暴食などは睡眠不足からくる初期症状なので注意が必要です。
眠気を感じなくても、身体に必要な睡眠時間や質が足りていない可能性があり生活習慣病の発症リスクを高めています。
仕事や子育て等で睡眠時間がとれない環境であっても、寝る時間から逆算して食事を摂られたり入浴や寝室の環境づくりなど工夫してみてください。