6月に入り西から徐々に梅雨入りが始まっております。ぱっとしない天気が続く時期がやってきましたが、道端ではアジサイが綺麗に咲いており梅雨時期の象徴としてその景色を見せてくれています。時には立ち止まってゆっくり眺め、四季の移ろいを感じるのもいいかもしれません。
さて、今回は前回に引き続き、令和6年度診療報酬改定【外来診療の機能分化・強化等】から、簡単ではありますが[かかりつけ医機能に係る見直し]について少しご紹介をさせていただこうと思います。

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令和6年度診療報酬改定【外来診療の機能分化・強化等】

【主な内容】

  • かかりつけ医とは
  • 地域包括診療料等の見直し
  • 処方等に関する評価の見直し
  • 時間外対応加算の見直し

◇かかりつけ医とは

 かかりつけ医とは、「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」と定義づけられています。

◇地域包括診療料等の見直し

♢地域包括診療料等の見直し
 かかりつけ医機能の評価である地域包括診療料等について、かかりつけ医と介護支援専門員との連携の強化、かかりつけ医の認知症対応力向上、リフィル処方及び長期処方の活用、適切な意思決定支援及び医療DX推進する観点から、要件及び評価が見直されました。長くなってしまうため下記に算定要件のみ載せさせていただきます。
[算定要件]
• 患者又はその家族からの求めに応じ、疾患名、治療計画等についての文書を交付し、適切な説明を行うことが望ましい。その際、文書の交付については電子カルテ情報共有システムにおける患者サマリーに入力し、診療録にその記録及び患者の同意を得た旨を残している場合は、文書を交付しているものとみなすものとする。
• 当該保険医療機関に通院する患者について、介護支援専門員及び相談支援専門員からの相談に適切に対応するとともに、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示すること。
• 患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、当該対応が可能であることを当該保険医療機関の見やすい場所に掲示するとともに、患者から求められた場合に適切に対応すること。
点数は、地域包括診療加算1が28点、地域包括診療加算2が21点、認知症地域包括診療加算1が38点、認知症地域包括診療加算2が31点と、全て3点ずつ増えています。 

◇処方等に関する評価の見直し

♢リフィル処方及び長期処方の推進
 リフィル処方及び長期処方の活用並びに医療DXの活用による効率的な医薬品情報の管理を適切に推進する観点から、処方料及び処方箋料の特定疾患処方管理加算について、28日未満の処方を行った際の特定疾患処方管理加算1を廃止し、特定疾患処方管理加算2の評価を見直され(66点➡56点)、特定疾患処方管理加算について、リフィル処方箋を発行した場合も算定を可能となっています。また、かかりつけ医機能の評価である地域包括診療料等について、リフィル処方及び長期処方の活用を推進する観点から、患者の状況等に合わせて医師の判断により、リフィル処方や長期処方を活用することが可能であることを患者に周知する旨が要件に追加されています。
♢処方箋料の見直し及び後発医薬品の使用促等の推進
 後発医薬品の使用を推進する等の観点から、下記点数の見直しが実施されています。
●一般名処方加算1(7点➡10点)、一般名処方加算2(5点➡8点)
●後発医薬品使用体制加算1(47点➡87点)、後発医薬品使用体制加算2(42点➡82点)、後発医
 薬品使用体制加算3(37点➡77点)
●外来後発医薬品使用体制加算1(5点➡8点)、外来後発医薬品使用体制加算2(4点➡7点)、
 外来後発医薬品使用体制加算3(2点➡5点)
●薬剤情報提供料(10点➡4点)
●処方箋料
1.向精神薬他剤投与を行った場合(28点➡20点)
2.1以外の場合の他剤投与又は向精神薬長期処方を行った場合(40点➡32点)
3.1及び2以外の場合(68点➡60点)

◇時間外対応加算の見直し

♢時間外対応加算の見直し
 時間外対応加算について、多様な在り方を考慮した評価体系に見直す観点から、時間外の電話対応等に常時対応できる体制として、非常勤職員等が対応し、医師に連絡した上で、当該医師が電話等を受けて対応できる体制の評価として時間外対応加算2(4点)が新設されており、従来の時間外対応加算2が3へ、時間外対応加算3が4へと変更となっています。
♢時間外対応加算の見直しを踏まえた小児科かかりつけ診療料の見直し
 時間外対応加算の評価体系の見直しの趣旨を踏まえ、小児かかりつけ診療料について、要件が見直されています。小児かかりつけ診療料1では、施設基準として時間外対応加算1又は2に係る届出が必要だったものが、時間外対応加算1又は3へと変更されており、小児かかりつけ診療料2では、時間外対応加算3に係る届出が必要だったものが、時間外対応加算2又は4へと変更となっています。

〇終わりに

 今回は、令和6年度診療報酬改定[かかりつけ医機能に係る見直し]について、簡単ではありましたがお話をさせていただきました。かかりつけ医というのは、自身の生活や家族の生活を守るうえで非常に重要なものになります。病気によって勿論大きい小さいはありますが、一度も病気を患わない人はいません。いざ自分や大切な人が疾患を抱える立場になったとき、何でも相談でき、正しい知識、正しい治療を示してくれる医師がいることがどれだけ人生を左右することか、その必要性を身を持って実感します。病気はいつその身に起きるかわかりません。しかしいつかは必ずやってきます。そのときの為に、今から備えましょう。(S)

 

この記事を書いた人


坂本 裕紀
経歴 / 看護大学卒業。OP室、ICU及びHCU、離島医療、訪問診療、訪問看護、クリニック立ち上げを経験し、現職。
資格 / 看護師、保健師、上級心理カウンセラー