大人の歯は、親知らずを合わせると計32本あります。40代で1本の歯を失いはじめ、50代で2~3本、80代で平均13本の歯を失っています。(平成28年度歯科患実態調査)
40歳以降、歯を失う最も大きな原因となっているのが歯周病となります。
歯と口は、単に栄養を身体に取り込むだけではなく、よく噛み美味しく味わうことで肥満防止や脳の活性化、ストレス解消など心身の健康につながっていきます。
また、会話をする様々な表情をつくるといったコミュニケーションをとるためにも大切な役割を持っています。
◇歯周病とは
歯を支える歯肉や骨が壊れ、歯が抜けてしまう病気で、成人の約8割以上の人が罹っていると言われています。歯肉出血や口臭程度しか自覚症状が現れにくく、気付かないうちに進行するので、定期的なチェックが必要です。
歯周病のメカニズム
歯と歯肉の境目にたまった歯垢の中の歯周病原菌が出す毒素、酵素とそれを防ごうとする免疫反応によって引き起こされます。
歯磨きのときに歯肉から血が出やすくなるのもその一つの症状です。喫煙やストレスが加わるとさらに重症化していきます。
歯周病と糖尿病の深い関係
糖尿病になると歯肉の毛細血管の血流が悪くなって免疫力が低下し、口の乾燥など歯周病原菌が育ちやすくなる環境となり、歯周病が悪化しやすくなります。逆に、歯周病が重症化すると免疫の過程で作られるサイトカインという物質が歯肉の毛細血管から血流に乗って全身に行きわたり、インスリンの働きを落とすため糖尿病が悪化します。
~これらを改善するためには~
ポイントは毎日のセルフケアと定期的なプロフェショナルケアです。
●歯肉の境目に歯ブラシの毛先を当てて、小さな動きで力を入れすぎず、歯垢を取ります。
●磨きにくいところや歯並びが悪いとことは、ワンタフト(ポイント・チップ)ブラシが便利です。
●歯と歯の間の歯垢は、フロスや歯間ブラシを使用して取ります。歯ブラシだけでは60%しか取れません。
●自浄作用がある唾液がたくさん分泌されるように、ゆっくりよく噛む習慣をつけると良いでしょう。
●歯垢が固まった歯石は自分では除去できません。歯科医師、歯科衛生士に磨き残しの癖等をチェックしてもらい、定期的に健康診断と歯と口のクリーニングを受けることが重要です。
◇よく噛むことの大切さ
歯を失い、噛みにくくなると、野菜、果実、肉類(たんぱく質、ビタミン、ミネラル)、食物繊維の摂取量が減り、穀類(炭水化物)が増えます。
食事のバランスが崩れ、メタボリックシンドロームになる確率が高まると言われています。
また、早食いは胃壁のセンサーや血糖、胃や脂肪細胞の伝達物質が脳の満腹中枢へ信号を送りますが、タイムラグがあり、早食いをすると満腹感を感じる前に食べ過ぎてしまう傾向があります。よく噛むと脳内の伝達物質である神経ヒスタミンの作用で、適量で満腹になるだけでなく脂肪の分解を促進したり脳の働きを活性化します。
~これらを改善するには~
歯の欠損を放置すると残っている歯が動き、かみ合わせが悪くなります。入れ歯やブリッジ、インプラント等でかみ合わせを回復させるとよく噛むことができます。
また一口30回噛むことがポイントとなります。
歯ミング30(カミングサンマル)※厚生労働省提唱
●飲み込もうと思ったらあと10回噛む。
●一口の量を少なめに
●一度、箸をおく(箸休め)など
まとめ
皆さんは歯の定期健診には行っていますか。歯医者は痛い、怖いイメージがあり、なかなか行くのも臆病になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年に1度定期検診に行くことで、健康な歯を保つことができます。痛くなってから行くのではなく、予防することが重要です。
私は半年に1回、歯医者で半年に1回定期検診を行い、セルフケアでは歯磨きのあとフロスを使用することで、14年程虫歯0で歯周病を予防することができています。
是非皆さんも現在の歯のケアの見直しやよく噛んで食べることを意識してみてはいかかがでしょうか。
