サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)の登録件数は、2022年1月末で8040件(273,824戸)となりました。
前月より23件(954戸)、前年同月より238件(10,269戸)増加しています(出典:一般社団法人 高齢者住宅協会HPより)。
高齢化社会の到来を如実に反映した結果だと思いますが、弊社には様々な理由でサ高住事業を手放したいという経営者の方からご相談を頂きます。
今回は、ご相談いただいたものなかで特に事業承継を成功させるうえで必要なものをかいつまんでお話しいたします。

サ高住事業は事業承継可能か?

勿論譲渡可能です。ただ経営形態と譲渡内容によって方法が異なります。
個人事業主:事業譲渡
法人:株式譲渡or事業譲渡
の方法で譲渡可能です。

本日の内容
・いつから準備したらいいですか?
・どんな事に注意したらいいですか?
・アドバイザーは必要ですか?

◇いつから準備したらいいですか?

これはサ高住事業はもとよりどの事業でも共通する事ですが、準備するタイミングは早ければ早いほどいいです。それは事業承継のお相手(買い手様)がいつ現れるか分からないからです。
想像してみてください。彼女を作ろう!と思った時、その時から自分磨きにまい進しませんか?それはステキな人に巡り合えた時、そのチャンスを絶対ゲットしたいからですよね。少し話が逸れましたが、事業承継も同じです。お相手が見つかったとしても中身(企業価値)が魅力なかったらご縁に繋がらないのが現状です。特に事業承継に足るべき魅力を兼ね備えるには、事業ですから1年単位の時間が必要となります。一般的には5年後に事業承継(お見合い)を見据えて今から準備しましょうと言われますが、10年後を見据えてもいいんです。その間に事業が好転してきたら違う道が拓けるかもしれません。

◇どんな事に注意したらいいですか?

サ高住事業の経営者様の大多数の人は、訪問介護事業も運営されていると思います。事業承継をお考えの状況ですから、経営的にも厳しい状態の事とお察しします。注意したいところは
【サ高住事業】
・稼働率はどのくらいか?
・どのくらい伸びしろがあるか?
・サ高住入居者の要支援者・要介護者の内訳はどうなっているか?
【訪問介護事業】
・従業員資格状況はどうか?
・訪問件数/日はどのような状況か?
・自治体、同業他社、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター等とどのような関係構築がされているか?
・従業員との関係は良好か?
というところが挙げられます。
なぜ注意したいところなのかといいますと、ここが買い手の興味関心のポイントだからです。
買い手はこれまでどのような投資を実行して資産を増やしてきたのか?というところはあまり興味がありません。逆に自社シナジーを活用してどのくらい事業をこれから伸ばせるのかの「可能性」を重視します。その為、今の現状にどのくらい潜在能力があって、今後どのくらい伸ばすことが出来るのか、そのような皮算用を買い手は計算しています。
特に従業員の確保についてですが、今介護業界は慢性的な人で不足な状況であり従業員退職後の人員補充は買い手にとっても大きな関心事であります。
事業承継を考えている経営者様はこの点を踏まえて、交渉テーブルにつく準備をされることをお勧めします。

◇アドバイザーは必要ですか?

結論から申し上げますと、アドバイザーをつける事をお薦めします。
事業譲渡、株式譲渡どちらにしても適切な事業譲渡価額を決定する必要があります。
中小企業における事業承継の算定方法は純資産価額方式が一般的ですが、これに加えて役員退職慰労金や保険積立金の解約返戻金、金融機関負債の個人保証除外手続きや固定資産評価など専門的な手法て適切な価額を算出する必要があります。
また簿外帳簿や未払残業・退職金の計上など調査しなければ出てこない項目もあり、このような項目を見逃すことで譲渡価額に著しい差異が発生するばかりか、譲渡後に簿外債務等の発覚による買い手企業からのアドバイザー報酬料を上回る損害賠償を要求されるなどのリスクも存在します。
アドバイザー報酬費も決して安いものではありませんが、買い手からの支払われる譲渡価額の一部を報酬としてアドバイザーにお支払するものであり、なおかつ上記のようなリスクも排除できることを踏まえると、アドバイザー依頼というのは決して高い買い物ではないと思います。

◇まとめ

今回は、サービス付き高齢者向け住宅事業の事業承継の気をつける点についてまとめてみました。
上記内容は、実際買い手企業からヒアリングされたポイントでしたので、サ高住事業の事業承継を検討されている経営されている方には少し参考になるかと思います。
介護施設の売却・買収についてのご相談も増えてきました。
ご相談費用は無料ですので、弊社までお気軽にお問い合わせしてみてはいかがでしょうか。